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GreenTrip - 3話

 魔女は二人を迎える準備をするため水晶の前を離れた。大がかりな魔術を使ったせいか、集中力が落ちてきていた。水晶は、此方へ向かう少年二人を映し出していたが、先ほどの獣が木の檻を抜け出そうとしていたのに彼女は気がつかなかった。
屋敷の中には旅人や迷い人と物々交換した武器や道具をしまっておく部屋がある。彼らが使えそうな物はあるかと物色していると、パシンという軽い衝撃を感じた。これは魔術によって作り出した、あの木の檻が破られたからだ。まずいと思った彼女は急いで屋敷を出た。


「月島、その制服って白鳳だよな。頭いいんだな。」
木のトンネルを歩きながら、なんとなく話をしていたら、やっぱりこういう話題になる。
「いや、俺は剣道やるために家から一番近い高校にしただけだよ。入試の時は猛勉強したけど、成績は普通だって。」
「オマエ剣道やってて成績普通なのか!?…やっぱ元が違うんだよな…。」
「別に青葉でもいいんじゃないか?働きもしないでブラブラしてるよりは。」
んーでもなーとか呟きながらガシガシ頭を掻く結城を見て、不思議な気持ちになる。そういえば結城のような人とはあまり関わった事がない。

 パキッ。
ふと、後ろからの微かな音に気がつく。
「ん、どうした?」
「後ろから何か来る。」
「は、マジかよ!?」
そう言って二人でトンネルの後ろに意識を集中させる。
パキッ、バキッ、パキキッ。
確かに何かが近づいてくる。まさか、さっきの獣が?
「オイオイ、やべぇ。走った方がよくないか?」
「ああ、そうだな。」
俺たちは前にあるであろう出口へ向かって走り出した。すると、後ろの奴も走り出す気配がした。どんどん近づいてくる。ちらっと後ろを見てみると、やはりさっきの獣が追ってきていた。
「うわっ、やっぱりアイツだ!」
俺がそう言うと結城も後ろを見て、げっという声を出している。このままじゃ追いつかれると思った時、やっと出口らしきものが見えてきた。
「やった、出口だ!」
トンネルの中より明るいその光の中、よく見るとそこに女性が立っていた。
「早くこっちへ!」
そう叫ぶと両手をかざして何か言い始めたけど、よく聞こえない。俺たちはとりあえず、なんとか彼女の所に滑り込んだ。その時、彼女が何か言った。
「ダイヤモンド・ブリザード!!」
その声が発せられると同時に彼女が突き出した手のひらからキラキラした粒のようなモノが勢いよく獣の方へ飛び出していった。飛び出した粒は獣の全身に張り付いていき、気がつくと銅像のようにカチコチに凍っていた。
「うわ…。」
「すげぇ…。」
目の前で起こったテレビゲーム世界のような出来事に、俺たちは唖然として凍った獣と女を見比べた。

「大丈夫ですか?」
彼女に声を掛けられて、やっと俺たちは頭が回りはじめた。やはり、此処は俺たちの知っている世界ではないらしい。
「あの、ここは…俺たち…。」
聞きたい事はたくさんあるはずなのに言葉がうまく出てこない。結城も同じだったが、なんとか口を開いた。
「アンタ誰だ?」
「私はルカ=アースワークと申します。詳しい事は、私の屋敷でお話しします。」


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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

GreenTrip - 2話

 暫くボーっとしていたが、獣がうなる声で我に返った。まだ獣は生きているのだ。いつまでも此処に突っ立っていたくない。
すると、また森が動いた。
「うわっ」
「またかよ!?」
獣から右の方角にポッカリと森に穴が空いた。
「おい、これって…。」
その穴の奥は、木のトンネルのようになっていた。
「こっちへ来いって事か?」
「上等だ、何だかわかんねーけど行ってやるよ。」
どういう理屈かわからないヤンキー的なセリフを吐いて茶髪がトンネルに入っていく。
「おい…。」
大丈夫だろうか、得体の知れないモノの誘導に従っても。そう俺が考えていると茶髪がこう言った。
「考えてもわかんねー時は、とりあえず行ってみんだよ。今はこれしか道がねーだろーよ。」
確かにそうだ。間違っていた時は、その時にまた考えればいいか。
「行ってみるか。」
俺も歩き始める。
「じゃあよ、その前に自己紹介でもすっか。」
そういえば、まだ名前も知らなかった。
「ああ、俺は月島 涼。高だ。」
「結城 護(ユウキ マモル)だ。オレも高2、同い年だな。じゃあ、行こうぜ。」
そう言って先に歩いていく。
「あ、そうだ結城、携帯持ってるか?」
少し落ち着いたら、だんだん頭が回ってきたようだ。
「持ってるけど、月島持ってねーの?」
「俺は鞄に入れて持ち歩いてたんだよ。結城が持ってればどこかと連絡が取れるかと思ったんだけど。」
俺が気がついた時、鞄を持っていなかったし、近くにもないようだった。
「あー、そういう事か。」
と言って、ポケットから携帯を取り出し、開く結城。
「どうだ?」
「うん…圏外だな…。」
少しテンションが下がった声で答える。
「そうだよな、仮にここが日本国内だったとしても、こんな森の中じゃ、圏外だよな…。」
そう言って、暫くお互い無言で歩く。
最近では山の中でも通じる筈なのにという事は、お互い口にしないようにした。ただの圏外だと思いたい。


 二人が木のトンネルを歩き始めた頃、森の屋敷の主は水晶を見ながらホッと息を吐いた。
いくら自分が森の魔女と呼ばれていても、森に棲むすべての生物を従えている訳ではない。なんとか二人を守り、こちらへ向かわせる事は出来たが、これからどうしようか。
あの二人の少年は、おそらく大国による何らかの実験によって飛ばされてきてしまったのではないだろうか。だが私には彼らを元の世界へ帰してあげられる力は無い。

 しかし、あの方なら出来るかもしれない。


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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

GreenTrip - 1話

 剣と魔法、ドラゴンとモンスター。
魔法大国や機械の帝国に、海の近くの商業国、多くの国や町がある。
このファンタジーの世界でこれからの物語が始まる。

 ある国の郊外にある森の奥、そこには1軒の屋敷がある。その屋敷の主と思われる女性が空を見上げている。
その日、空には異様な空気が漂っていた。荒い風、雷雲、そして…時空の歪み…。
 ふと何かに気付いた彼女は部屋の水晶玉に近づき何かを呟く、すると水晶玉の中に映像が浮かびあがる。映し出されたのは、時空の歪みの渦の中心、そこから2つの光が飛び出し、別々の方角へ飛び去ろうとした時、バランスが崩れて2つの光がぶつかり、真っ逆さまに落ちていった。
 それを見た瞬間、彼女は近くにあった木炭で床に魔法陣を描き、何かを唱えた。すると魔法陣が光り始め、その光は1ヵ所に集まり突然消えた。


 体が痛い、ここはどこだろう。月島 涼(ツキシマ リョウ)は何故このような事になったのか思いだそうとした。
 学校の帰りだった、いつものように剣道部の練習を終え、家に向かう途中だった。そうだ、耳鳴りのような音がしたと思ったら突然まばゆい光に包まれて…。

 周りを見回してみる。覆い茂った草や木々、どうやら森のようだ。近くに折れた木の枝があった。上を見ると葉のたくさん茂った木の枝が所々折れている。ずいぶん高い所から落ちたようだった。
 次に体をゆっくり動かしてみる。いろんな所を打ってしまって痛みが走るが骨は折れていないようだ。剣道で鍛えていたのがよかったのだろうか。とりあえず起き上がる。
「いったい、どうなってんだ…。」
「それは、オレも知りてぇんだけど。」
独り言のつもりで発した声に返事がきて、驚いて声のした方を向くと自分と同じ年くらいの茶髪で目つきの悪い少年が木に寄りかかって立っていた。
「ここには俺たち以外はいないのか?」
体についている土や草を払いながら聞いてみる。
「オレたちだけみたいだぜ?」
「そっか。」
そう言ったきり、何を言ったらいいものかしばし無言になる。
 その時、森の奥から木々の枝をへし折り草を踏みしめながら何かが近づいてくる気配がした。
「何だ…熊とかか?」
音のする方を見るが、まだ何も見えない。逃げたほうがいいのだろうか?
 今度は周りを見渡してみる。木の根やごろごろした石、覆い茂った草、獣道のようなモノもあるが…そっちへ逃げてもいいのか?
茶髪も周りを見ながら同じ事を考えているようだ。そうこうしているうちに何かは近くまで来てしまった。
「とにかく、ここから離れよう。」
と俺は言い気配とは反対の獣道を走り出した。と言っても歩き慣れていない道とは言えない道を走るのは難しい。いくらも走らないうちに茶髪がつまづいて転んでしまう。何かはすぐ側まで来ている。やばい。とっさに近くに落ちていた枝を手にとって茶髪に駆け寄る。
―間にあわない。
 もう駄目だと思った、その時、森が動いた。木の根や枝、草がまるで生き物のように動き今にも俺たちに襲いかかろうとしていた何かを絡め捕った。
「なに!?」
転んだままの茶髪が驚きの声をあげる。
「なんだこれ…。」
俺も唖然としながら動く木を見た。しばらくして檻のような形になって止まった。
「助かった…のか?」
木の檻に捕まっているモノを見てみた。そいつは角の生えた狼のような獣だった。
「さあな…。」
そう言い茶髪は後ずさりながら立ちあがった。
「ってゆーか、木がありえない動きしたよな?」
制服についた土を落としながら茶髪が言う。
「どうなってんだ、この森…。」
あまりにも非常識な出来事を見てしまった俺たちはしばらくそこにボンヤリと立っていた。
 なんだろうこれは、まるでマンガやゲームのファンタジー世界のようじゃないか…。


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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

さてと

絵ばっかり描いてると小説のほうが気になってきてしまいました。

しかし、あのまま書いていくのはちょっと大変です。未熟なくせに1話ごとに視点変更とかね…^^

なので書き直してupしようと思います。タイトルも『森緑の魔女』から『GreenTrip』になります。

話の内容や設定はほとんど変わりませんがエピソードを増やしたり減らしたりしますので一度読んだ人でもたのしめるかも?っていうか減らすくらいの量は書いてないんだけどね…。

とにかく、お楽しみに…!?

それと、テンプレートを変えました。変えたら以前にupした画像が切れちゃってます。めんどくさいので古いのはそのまんまにします^^

テーマ : 雑記
ジャンル : 学問・文化・芸術

おひさしぶり…です。

おひさしぶりって言っても、もうこのブログ読んでる人いないかもしれないけど(笑)

前に小説を更新したの10月だと…ダメすぎる…ぜ…。

えー、この春から「講談社フェーマススクールズ」のクリエイティブアート・コースを受講することになりました。
基本を学びながら枚数こなすのが上達への道だとか…。受講料がけっこう高額なので頑張るしかねぇ!

前のノートPCがダメになって、今は亡くなった弟のPC使ってるんだけど、これもいつダメになるかわかりません。
SONYなんだぜ…。

お金が続く限りはブログも暇を見つけて更新していきたいと思います。

頑張りたい、頑張りたい。

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